依存症基本知識
アルコール
1. アルコールの基礎知識
飲酒量の単位
酒類とは酒税法で、アルコール(エチルアルコール)分1度以上の飲料(薄めてアルコール分1度以上の飲料とすることができるもの、または溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含む)と定義されています。ご存知の通り、酒は様々な原料から様々な製法で作られ、無数とも言えるほどの種類があります。また、それぞれが、異なった特有の濃度のアルコールを含んでいます。
酒を飲んで「酔い」などの効果をもたらすのは、このアルコールです。従って、アルコールの体や精神に対する影響は、飲んだ酒の量ではなく、摂取した純アルコール量が基準となります。純アルコール量で比較すれば、酒の種類や強さを考えずに、影響が推定できます。
1. 純アルコール量の計算
酒のラベルには、中に含まれるアルコールの度数が書かれています。この度数は、体積パーセント(%)を意味します。度数5または5%のビールとは、100ミリリッター(mL)に、純アルコールが5mL含まれているビールということです。通常、純アルコール量は、グラム(g)で表わされます。5%のビールの中ビンまたはロング缶1本(500mL)に含まれている純アルコール量は、アルコールの比重も考慮して、以下のように計算します。
500 (mL) × 0.05 × 0.8 = 20 (g)
酒の量 (mL) × 度数または% / 100 × 比重 = 純アルコール量 (g)
2. 基準飲酒量(ドリンク)
飲酒量を純アルコールに換算して分かりやすく表示する方法が多くの国で行われています。その基準となるのが、「standard drink(基準飲酒量またはドリンク)」で、各国で定められています1)。例えば、米国では1ドリンクは14gのアルコールで、これはビール小ビン1本の量です。オーストラリア、ニュージーランドは10g、デンマークは12g、英国は8gです。
わが国の場合、近年、1ドリンク = 10gという基準量が提案され、使用されています。
3. 各酒類の1ドリンク
基準飲酒量は、飲んだ真のアルコール量を把握できるため非常に便利です。表1に、2ドリンクに相当する酒の量をまとめました。この量は飲んだアルコールの分解時間の推定などにも役に立ちます。
表1. 各種酒の2ドリンク量
参考文献
樋口 進ほか (編). 健康日本21推進のためのアルコール保健指導マニュアル. 社会保険研究所, 東京, 2003.
著者
樋口 進