依存症拠点機関事業

連絡先 HOME

アルコール依存症、薬物依存症、ギャンブル依存症の改善を目指して

お酒や薬物で困ったときには・・(依存症者本人向け)

お酒や薬物で困ったときには・・

お酒の飲みすぎが気になる方へ

(1)アルコール使用障害とは?

このページを見に来られた方は、「自分にお酒の問題があるかも」と思って来られた方が多いと思います。お酒は多くの方に飲まれており、とても日常的なものですが、様々な病気を引き起こしたり、仕事や家庭、対人関係の問題を引き起こしたりするなど、負の側面も多くあります。
お酒を飲むことによって身体的、精神的な問題などが起こることをアルコール乱用(有害な使用)と呼び、さらに進行して飲酒のコントロールが効かない状態をアルコール依存症と呼びます。最近出版されたDSM-5という診断基準では、この両者をまとめてアルコール使用障害と呼んでいます。
アルコール使用障害は、例外なく、お酒を飲みすぎることによっておこります。そして、お酒の飲み方や考え方を変えることによって回復が可能です。

(2)自分にお酒の問題があるかどうかを知る

自分にお酒の問題があるかどうかを知るために、いくつかのツールがあります。最も広く使用されているものに、AUDITというテストがあります。AUDITは、全部で10問からなるテストで、あてはまる項目を選び、その合計点によってアルコール問題の度合いを測ります。
(表1 AUDIT)
AUDITの点数が8点以上の方は、アルコール使用障害の疑いがあります。以下に述べるような、お酒の飲み方を変えるための行動を起こしてみましょう。
AUDITで15点以上の方は、アルコール依存症が強く疑われます。AUDITが20点以上の方は、すぐにアルコール依存症の専門病院を受診した方がいいと思われます。

(3)お酒の飲み方を変えるには

よく「ほどほどのお酒は体に良い」といった話を聞くことがありますが、どのくらいのお酒が「ほどほど」なのかご存知でしょうか。厚生労働省が「節度のある適度な飲酒」として提唱するのは、男性なら1日アルコールとして20g、女性は10gです。1日20gの量の例を下に示します。
(図1)
1日平均の量がこの3倍の1日60g以上なら、「多量飲酒」と呼ばれ、明らかにアルコールによる健康問題を引き起こすリスクが高い飲み方です。
実際には、自分の飲酒量を把握するのは難しいと思います。そこでお勧めしたいのが、「飲酒日記」をつけることです。方法は簡単で、飲酒した時の飲酒の量を、ノートや手帳に書いてみましょう。
自分の飲酒量が多いと思ったら、飲酒量を減らすことに挑戦してみましょう。いきなり先の量にすることが難しいと思ったら、まず自分でできそうな目標から始めても結構です。「1日の量を決める」「飲まない日を作る」など自分に合った目標を立ててみてください。
自分のお酒の飲み方の自己診断ができるWeb上のツール(SNAPPY-CAT)も公開されています。興味を持たれた方は、ぜひ試してみてください。
(SNAPPY-CAT)https://www.udb.jp/snappy_test/

(4)アルコール依存症からの回復

アルコール依存症は、アルコール使用障害の中でもより進行した状態です。アルコール依存症になると、以下のような症状が現れます。
・飲酒の量や時間がコントロールできない。
・朝から晩まで飲んでしまう。
・体の病気があっても飲んでしまう。
・酒が切れると手の震えや発汗が起きる。
アルコール依存症の場合は、酒の量を減らすことではなく、断酒を目標とするお勧めします。飲酒量を減らすようにしていても、そのうちに元に戻ってしまう可能性が高いからです。
断酒をしてはじめのうちは、飲みたいという欲求が強く出ることがあります。そこで飲んでしまうと、また元の飲み方に逆戻りになってしまいます。専門病院への受診や自助グループの参加などは、断酒を続ける助けになります。1-2年断酒を続けていると段々安定してきて、最初と比べると飲酒したいという欲求も少なくなってきます。

(5)アルコール依存症の専門病院受診の勧め

断酒をしようと決断したとしても、自力で酒を断つことはなかなか難しいものです。病院に受診することは、アルコールの問題を解決するための、大きなきっかけになると思います。病院を受診する際は、内科や一般の精神科よりも、アルコール依存症の専門的治療を行っている医療機関に受診することをお勧めします。アルコール依存症の治療は専門性が高いため、一般の精神科を受診しても結局専門機関を紹介されることが多く、二度手間になってしまうからです。お近くのどこに専門医療機関があるかは、地域の保健所に聞けば教えてくれると思います。専門医療機関のリストは、以下を参照してください。初診時に予約が必要な医療機関もあるので、電話等で受診方法をお尋ねになってから受診することをお勧めします。
また、各地でアルコール依存症の自助グループが開かれています。自助グループとは、アルコール問題を抱える当事者が集まって、それぞれの経験を話し合い、ともに回復を目指していくグループです。代表的なものに、断酒会とAAがあります。経験者の話を聞くことは、ご自身の回復へのヒントを得ることにつながります。一度、自助グループに参加されるのもいいきっかけになると思います。
(断酒会)http://www.dansyu-renmei.or.jp/
(AA)http://aajapan.org/

(6)さいごに

アルコール使用障害からの回復で一番の問題は、なかなか自分のアルコール問題に気づくことができないということです。自分のアルコール問題に興味を持ち、情報を調べるという行動を起こしたあなたは、すでに回復への第一歩を踏み出しているといえるでしょう。ぜひ回復に向けて、何かしらのアクションを起こしてみてください。


表1 AUDIT(アルコール使用障害のスクリーニングテスト)

(1)あなたはアルコール含有飲料をどのくらいの頻度で飲みますか?
   0.飲まない
   1.月に1回以下
   2.月に2~4回
   3.週に2~3回
   4. 週に4回以上

(2)飲酒するときには通常どのくらいの量を飲みますか?(1ドリンクはアルコール10g、2ドリンクの目安は下の図参照)
   0. 1~2ドリンク (例:ビール500ml以下)
   1. 3~4ドリンク (例:ビール500~1000ml以下)
   2. 5~6ドリンク (例:ビール1000~1500ml以下)
   3. 7~9ドリンク (例:日本酒4合、焼酎3合)
   4. 10ドリンク以上 (例:日本酒5合以上、焼酎500ml以上)
(3)1度に6ドリンク以上飲酒することがどのくらいの頻度でありますか?
(6ドリンクの目安:ビール500ml3本、日本酒3合、焼酎300ml、ウイスキーダブル3杯、ワイン4.5杯、チューハイ350ml3本)
   0. ない
   1. 1カ月に1回未満
   2. 1カ月に1回
   3. 週に1回
   4. 毎日あるいはほとんど毎日
(4)過去1年間に、飲み始めると止められなかったことが、どのくらいの頻度でありましたか?
   0.ない  1.月に1回未満  2.月に1回  3. 週に1回 4. 毎日あるいはほとんど毎日
(5)過去1年間に、普通だと行えることを飲酒していたためにできなかったことが、どのくらいの頻度でありましたか?
   0.ない  1.月に1回未満  2.月に1回  3. 週に1回 4. 毎日あるいはほとんど毎日
(6)過去1年間に、深酒の後体調を整えるために、朝迎え酒をせねばならなかったことが、どのくらいの頻度でありましたか?
   0.ない  1.月に1回未満  2.月に1回  3. 週に1回 4. 毎日あるいはほとんど毎日
(7)過去1年間に、飲酒後罪悪感や自責の念にかられたことが、どのくらいの頻度でありましたか?
   0.ない  1.月に1回未満  2.月に1回  3. 週に1回  4. 毎日あるいはほとんど毎日
(8)過去1年間に、飲酒のため前夜の出来事を思い出せなかったことが、どのくらいの頻度でありましたか?
   0.ない  1.月に1回未満  2.月に1回  3. 週に1回 4. 毎日あるいはほとんど毎日
(9)あなたの飲酒のために、あなた自身か他の誰かがけがをしたことがありますか?
   0.ない    2.あるが、過去1年にはなし   4.過去 1 年間にあり
(10) 肉親や親戚、友人、医師、あるいは他の健康管理にたずさわる人が、あなたの飲酒について心配したり、飲酒量を減らすように勧めたりしたことがありますか?

   0.ない    2.あるが、過去1年にはなし   4.過去 1 年間にあり

(1)~(10)の合計がAUDITの点数

 


図1 アルコール20g(2ドリンク)の目安

ビール
5%)

日本酒(にほんしゅ)
15%)

焼酎(しょうちゅう)
(25%)

ウイスキー
40%)

ワイン
12%)

チューハイ
7%)

 500ml

1合(180ml)

 100ml

ダブル1杯
60ml

グラス1.5杯
(210ml)

350ml

MC900441795[1]

日本酒

焼酎

ウイスキー

ワイン

チューハイ

 









ページのトップへ戻る